サステナビリティESG:社会(Social)

人権デュー・ディリジェンス

人権課題の特定と人権影響評価

2023年8月、経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会の協力を得て、人権デュー・ディリジェンスワークショップを開催し、当社グループの事業活動における潜在的な人権課題の特定をおこないました。ワークショップはバリューチェーンの関連部署から計24名が参加し、デスクトップ調査で抽出された潜在的な人権課題をもとに、バリューチェーン全体で懸念される潜在的な人権課題の特定をおこないました。

関連するバリューチェーン

開発/設計-調達-製造-物流-販売-消費-廃棄

ワークショップの様子 1枚目
ワークショップの様子 2枚目
ワークショップの様子 3枚目

ワークショップで抽出された人権課題

バリューチェーン 抽出された人権課題
自社 サプライヤー
開発/設計
  • 労働者の適正な労働時間
  • 国籍や性別による業務範囲の制限
  • 特定有害物質の使用に関する労働安全衛生
  • サプライヤー労働者の適正な労働時間
調達
  • 紛争鉱物使用による人権侵害への加担
  • サプライヤーにおける外国人労働者の適正な労働時間および賃金
  • 国内および海外サプライヤー労働者の適正な労働時間および賃金
製造(工事)
  • 労働者の適正な労働時間
  • 海外の工事におけるサプライヤー労働者の適正な労働時間および賃金
物流
  • 労働者の適正な労働時間
  • サプライヤー労働者の適正な労働時間
使用
  • 緊急対応等に関連する労働者の適正な労働時間および心理的負担
廃棄
  • 人体に悪影響のある材料の使用に関連する人権への影響
その他(全体)
  • 労働者(特に管理職)の適正な労働時間
  • 円借款案件を通じた軍事政権への加担

重要な潜在的人権リスクの特定

重要な潜在的人権リスクの特定

グループ会社従業員とのダイアログ

当社グループが取り組むべき重要な人権課題「国内外サプライチェーン上の労働者の職場環境(国内の外国人労働者を含む)」について、バリューチェーン上の実態を把握するため、当社グループで働く外国人労働者とのダイアログを実施しました。

実施日
2023年10月18、19日
2024年3月27日
対象者
京三グループ従業員A氏(ロシア)
京三グループ従業員B氏(ミャンマー)
京三グループ従業員C氏(台湾)
確認項目
職場環境、生活環境での差別的対応・表現、労働時間、賃金
確認できたこと、課題
(従業員A氏、B氏)
職場や生活環境において、差別的な対応や表現を受けることはなく、職場環境では日本人スタッフとの関係性は良好であった。一方で、住居賃貸契約時の手間や会社規程類が日本語対応であることなど、不便さを感じている点も確認された。
(従業員C氏)
職場環境において、上司や同僚とのコミュニケーションは良好で、風通しの良い職場環境であり、労働時間においても適切に管理されていることが確認された。一方、賃金は現時点で適正水準だが、昨今の物価上昇による生活への影響が懸念される点として確認された。

国内サプライヤー企業とのダイアログ

CRT日本委員会の協力のもと、当社グループが取り組むべき重要な人権課題「国内外サプライチェーン上の労働者の職場環境(国内の外国人労働者を含む)」について、国内サプライチェーン上の実態を把握するため、外国人技能実習生を雇用している主要国内サプライヤー企業の外国人労働者と経営層とのダイアログを実施しました。

実施日
2024年2月7日
対象者
国内サプライヤー企業A社
技能実習生9名(カンボジア)
確認項目
適性な労働時間/適正な賃金、安全な採用・雇用契約、職場における健康と安全、結社の自由と団体交渉権/コミュニケーション
確認できたこと、課題
対象企業においては、カンボジア人技能実習生の就業環境や生活環境については、大きな問題は見られず、日々の円滑なコミュニケーションが確立され、会社と技能実習生の関係性は、大変良好であることが確認された。一方、労働環境では作業手順の言語対応など、今後、工夫と改善が必要であることも確認された。

海外サプライヤー企業とのダイアログ

CRT日本委員会の協力のもと、当社グループが取り組むべき重要な人権課題「国内外サプライチェーン上の労働者の職場環境(国内の外国人労働者を含む)」について、海外サプライチェーン上の実態を把握するため、主要海外サプライヤー企業の経営層と労働者とのダイアログを実施しました。

実施日
2024年3月11,12日
対象者
海外サプライヤー企業B社(インド)
人事、製造業務に従事する労働者、施設管理、梱包業務に従事する請負業者や契約労働者など男女合わせて62名のライツホルダーと実施
確認項目
児童労働、適正な賃金/適正な労働時間、職場における差別、プライバシーの権利、結社と団体交渉の自由、労働安全衛生、移民労働者、現代奴隷、救済へのアクセス
確認できたこと、課題
対象企業においては、マネジメント層は労働者を大切にし、労働者支援のための適切な方針および制度が整備されている。また、無料ランチの提供や託児所サポートなど良好な労働環境を整備しており、大きな問題は見られなかった。一方、人権デュー・ディリジェンスに沿った業務プロセスの改善や予防措置の実施、苦情処理メカニズムの有効性を高めることなど工夫や改善が必要であることも確認された。

〈第三者コメント〉

京三製作所グループが2023年度に「ビジネスと人権に関する指導原則(以下、UNGPs)に基づいた人権デュー・ディリジェンスを行っていることについて、第三者機関であるCRT日本委員会が報告する。
2023年8月におこなった人権デュー・ディリジェンス・リスクアセスメント(ワークショップ)では「国内外サプライチェーン上の労働者の職場環境(国内の外国人労働者を含む)が重要な人権テーマとして挙げられた。これを受け、この分野において人権課題の有無を確認するため、国内、海外のサプライヤー2社でライツホルダーとの直接対話を実施した。両社ともに深刻な人権課題はなく、引き続き人権尊重の観点でいくつかの施策を行うことで、更により良い職場環境を整備していくことが期待できる。今後もUNGPsに基づいた取り組みを実践していくために、グループ会社やサプライチェーンなどで定期的に雇用状況の調査を行い、ルーティン化した形でライツホルダーへのエンゲージメントができる仕組みづくりを期待する。

2024年3月22日

CRT日本委員会
事務局長 石田 寛

人権に関する教育

「ビジネスと人権」に関する役員向け勉強会の実施

2023年8月、CRT日本委員会 業務執行理事事務局長石田寛氏を講師に迎え、京三グループ役員33名を対象に「ビジネスと人権」をテーマとして、対面とオンラインを併用した勉強会を実施しました。本勉強会を通して企業を取り巻く環境の変化、人権対応の必要性、企業が果たすべき役割など人権尊重の取り組みの重要性について理解を深めることができました。

京三グループ従業員向け社内教育

京三製作所グループでは、あらゆるハラスメントを防止し、働きやすい職場環境づくりに向けた取り組みとして、年1回の全従業員を対象としたコンプライアンス研修と、マネジメント層を対象としたダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン研修をおこなっています。また、今後は企業活動における人権尊重に対する理解、向上を目的として、「ビジネスと人権」に関するe-ラーニング等の研修を実施していきます。

サプライチェーンマネジメント

京三製作所グループでは、企業に対する社会的責任の要求に対応すべく、「サステナブル調達ガイドライン」を制定し、取引先企業に対し、本ガイドラインへの理解と協力をお願いしております。今後は、セルフアセスメントを通じ、サプライチェーン上の活動状況を評価し、改善に向けた取り組みをおこなっていきます。
京三製作所グループは、事業活動を通じ、持続可能な社会の実現に向け、取引先企業と共に取り組んでまいります。

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