サステナビリティESG:環境(Environment)
TCFD提言に基づく情報開示
基本的な考え方
京三製作所グループでは、「『安全性・信頼性』『地球環境保全』をキーワードに先進の技術と高い品質で『社会の発展と快適性向上』に貢献する」との企業理念のもと、気候変動課題への対応が将来にわたっての事業継続のための重要な経営課題であると認識しています。
2022年度から気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークをもとに、様々なリスクと機会の把握に努めると共に、「脱炭素社会貢献」をマテリアリティ(重要課題)として位置付け、適切な情報開示、対応を進めてまいります。
当社は事業活動を通じ、地球規模の課題である気候変動の緩和のための取り組みを推進し、脱炭素社会へ貢献していきます。
TCFD提言の開示要求事項(気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)をベースに当社作成)
ガバナンス
- 気候関連リスクと機会に関する取締役会の監視体制と経営者の役割
戦略
- 気候関連リスクと機会がビジネス、戦略、財務に及ぼす影響
- 気候変動シナリオに基づく、検討をふまえた組織戦略の対応力
リスク管理
- 組織のリスクを選別・評価するプロセス
- 組織のリスクを管理するプロセス
- 気候変動リスクが組織の総合的リスクに統合されるプロセス
指標と目標
- 気候関連リスクと機会を評価する際に用いる指標
- Scope1,Scope2及び該当するScope3のGHG排出量
- 気候関連リスクと機会を管理するための目標と実績
ガバナンス
社長執行役員を議長としてコーポレート戦略室統轄役員、業務執行に係る取締役、事業部長等で構成されるコーポレート戦略会議にて、気候変動課題への対応に関する目標の進捗モニタリングをおこない、必要に応じて是正策を検討します。
取締役会は、コーポレート戦略会議で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、監督をおこないます。
戦略
TCFDのフレームワークをもとに、気候変動が中長期的に信号システム事業、パワーエレクトロニクス事業に影響を及ぼすリスクと機会を特定し、1.5℃シナリオ、4℃シナリオで分析をおこないました。移行リスクは炭素税導入による税負担の増加、また、物理的リスクは激甚化した異常気象による被害の増加といったリスクを認識しています。
一方、脱炭素、低炭素社会が推進されることによる、高効率、環境配慮型(省エネ)製品の需要が増加することも分かりました。機会に対しては中期経営計画にて、技術、製品開発テーマとして取り組みを推進しています。
特定されたリスクについては、建物、生産設備の省エネ化の推進や、浸水被害対策を強化するなど、適切な対応策を講じていきます。シナリオ分析結果については、中期経営計画に掲げたサステナビリティの取り組みに反映し、持続的な企業価値の向上と脱炭素社会の実現に貢献していきます。
シナリオ分析の前提
シナリオ:4℃シナリオ:IPCC/SSP5-8.5、1.5℃シナリオ:SSP1-1.9
対象事業:当社鶴見本社・工場
想定期間:2050年
2050年を想定した「リスク」
リスク項目 | 事業インパクト | 時期 | 評価 | 取り組みの方向性 | ||
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大分類 | 中分類 | 小分類 | リスク | |||
移行リスク | 政策規制 | 炭素価格 | 【全社】炭素税等、温室効果ガスを抑制する政策導入・規制強化による、原材料への価格転嫁に伴う調達コストの増加 | 中長期 | 中 |
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GHG排出規制 | 【全社】GHG排出規制強化により事業所の省エネ設備投資増加 | 中長期 | 中 |
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市場 | エネルギーミックスの変化 | 【全社】エネルギー調達コストの増加 | 中長期 | 中 | ||
技術 | 省エネ | 【全社】高効率、低電力製品の需要増加等、マーケット変化に対する対応の遅れによる成長機会の喪失 | 中長期 | 大 |
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評判 | 顧客 | 【全社】気候変動関連課題への消極的取り組みによる信頼低下、取引停止 | 中長期 | 大 |
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物理的リスク | 急性 | 自然災害の頻発・激甚化 | 【全社】気候変動により異常気象の激甚化が進み、調達・物流ルートの断絶と工場の損害による販売機会の喪失 | 中長期 | 大 |
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慢性 | 平均気温の上昇 | 【全社】気温上昇により熱中症リスクの高まりに伴う、現場作業の中断によるコストの増加 | 短中期 | 中 |
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2050年を想定した「機会」
機会項目 | 事業インパクト | 時期 | 評価 | 取り組みの方向性 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
大分類 | 中分類 | 小分類 | 機会 | |||
移行リスク | 技術 | 省エネ | 【全社】高効率化、省力化、省エネ化など環境配慮型製品の需要増加 | 中長期 | 中 | 【信号: 【PE: 】高効率、低電力電源の導入促進 |
】鉄道の自動運転システム、CBM関連製品、道路交通の防災対応製品の導入促進
評判 | 顧客 | 【全社】低炭素、環境配慮型製品開発への積極的な取り組み姿勢への評価による企業評価の向上 | 中長期 | 中 |
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事業インパクト試算の前提条件
項目 | 現在 | 2050年 | 出所 | |
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1.5℃ | 4℃ | |||
日降水量200mm以上の年間日数 | 基準として1倍 | 1.5倍 | 2.3倍 | 文部科学省 気象庁「日本の気候変動2020-大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書-(詳細版)」から推計 |
洪水の発生頻度 | 基準として1倍 | 2倍 | 4倍 | 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会「気候変動を踏まえた治水計画のあり方(提言)」から推計 |
事業インパクト試算結果
分類 | 主なリスク | 2050年 | ||
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1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | |||
物理的リスク | 急性 | 洪水被害による工場生産設備等への被害 | ー | 5億円/年 |
急性 | 洪水被害による工場操業停止に伴う営業利益の減少 | ー | 4億円/年 |
試算の結果、4℃シナリオの物理的リスクによる財務インパクトが大きいことが分かりました。今後、気候変動によるリスクの最小化を図り、高効率、環境配慮型(省エネ)技術、製品開発促進など機会の最大化と定量評価に向けた取り組みを継続していきます。
リスク管理
京三製作所グループでは、コーポレート戦略会議が気候変動に関する自社への影響を評価・識別し、その影響を管理します。特定した気候変動による影響については、必要に応じ、リスク管理委員会と共有・連携し気候変動の影響を全社リスクに統合していきます。
コーポレート戦略会議は定期的に開催され、報告・提言された内容を評価し、全社的なリスク管理の観点から適切な対応を決定します。取締役会は、コーポレート戦略会議から気候変動に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督をおこないます。
指標と目標
京三製作所グループでは、気候変動によるリスクの低減と備えのため、「2030年にはCO2排出量を2013年度比で46%以上削減」「2050年度にはCO2排出量実質ゼロ」を掲げ、脱炭素化に向けた取り組みを推進します。京三製作所グループはCO2排出量の削減と、環境配慮型製品の供給などを通じ、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
CO2排出量(Scope1・2)(単位:t-CO2)
CO2排出量
(単位:t-CO2)
2013年度 (推定) |
2022年度 | 2023年度 | 削減に向けた取組 | |
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Scope1 | 900 | 770 | 805 | 電気自動車、低燃費車の導入 |
Scope2 | 6,000 | 953 | 555 | 再エネ電力への切替 |
Scope3 | ― | ― | 426,150 | |
カテゴリ1 | ― | ― | 169,611 | 環境負荷低減に貢献する設計、調達 |
カテゴリ2 | ― | ― | 2,566 | 環境負荷低減に貢献する調達 |
カテゴリ3 | ― | ― | 288 | 電気自動車、低燃費車の導入 |
カテゴリ4 | ― | ― | 692 | 輸送効率の向上、鉄道コンテナの活用、低燃費、エコカーの導入 |
カテゴリ5 | ― | ― | 219 | 廃棄物の抑制、再資源化 |
カテゴリ6 | ― | ― | 1,539 | 電車移動の奨励、オンライン会議の活用 |
カテゴリ7 | ― | ― | 425 | エコカーの導入(通勤バス) |
カテゴリ11 | ― | ― | 161,144 | 高効率、省電力化 |
カテゴリ12 | ― | ― | 89,666 | 省資源化 |
温室効果ガス排出量の第三者検証
京三製作所グループは、2023年度温室効果ガス排出量実績(Scope1,2,3)について、ISO14064-3に基づく第三者からの独立検証を受けました。
グリーン調達
当社では、製品およびサービスの提供を含めた全ての事業活動において、環境負荷の低減など、環境保護の取り組みを推進しています。
そのため、調達活動に関しては、環境に配慮したグリーン調達(環境への影響が少ない商品の優先購入)を積極的に行う所存であり、「グリーン調達ガイドライン」を作成しました。
グリーン調達には取引先様のご理解が必要となりますので、「グリーン調達ガイドライン」をご参照のうえ、ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。
グリーン調達ガイドライン
株式会社京三製作所は、環境活動においても、“環境保護”を経営の最重要課題の一つと位置づけ、全社を挙げて環境にやさしいものづくりに取り組んでいます。
そのためには、環境負荷の少ない原材料、部品の調達を行うことが不可欠であり、「グリーン調達ガイドライン」に従い環境保護に適した資材調達を推進してまいります。